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首が痛くて目が覚めました。

コーチ(長距離バス)に乗って既に3時間ほど、

アウトバックに陽が昇り始めました。

このコーチは、トレインリンク(列車連絡コーチ)です。



あれは、真夜中のブロークン・ヒル・タウン・コーチ乗り場
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ここから3:45(NSW標準時4:15)に、

ダッポー行きコーチで出発しました。

ブロークン・ヒルへやって来る列車は、

アウトバック・エクスプローラの名称の列車が、

シドニーからの週1往復(月曜日着、火曜日発)のみ。

ただし、若干遠回りになりますが、

ダッポーというNSW州中央部の町から、

毎日運行のシドニー行き列車が運行されており。

その列車への連絡コーチが毎晩、運行されているのです。

ダッポーの列車の出発時間から、所要時間を差し引くと、

こんな、

とんでもない真夜中の出発となってしまうようです。

まぁ、

とりあえず、無事にトレインリンクに乗れたので、

一安心。

静まり返ったブロークン・ヒルの街を、5分ほどで抜けて、

あとはトップ画像の夜明けまで、漆黒の車窓。

出発が早すぎ、前日より寝ずにコーチに乗車。

なので、街を抜けたら即爆睡したのでした。

首が痛くて目覚めたら、

幻想的なアウトバックの夜明けだったのです。

さらに、そこから寝ました。

眠いし…



そして、何もない道をひたすら高速で走って来たのですが、

コーチが減速して、交差点を曲がる感覚があったので、

目を覚ましてみると、

なんか町の公園に停車しました。
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NSW標準時間9:10(この後は標準時間で表示)です。

ドライバーさんトイレ休憩も無く、

5時間も、ぶっ通しで運転してこられたのですね。

元バス屋(事務職)なので、頭が下がります。

日本でこれだけ連続走行させると、

怒られるというか、法令違反で処分されます。

バスにはトイレが付いているので、

乗客はいいのですが、ハンドルを握るドライバーさんは、

行けませんからね。

ドライバーが「ここで50分休憩します。」と告げて、

全員、一旦降りるように、

また、

時計もブロークン・ヒル時間ではないから、

30分早めるように言われました。

同じ州ながら、ブロークン・ヒルだけ30分時差があるんです。

この件は、以前にもお話してますよね。

それにしても、

30分っていう中途半端な時差って、珍しいですけどね。



ところで、この町、

何処だかわかりません。

オーストラリアで大活躍のGoogleマップで、

調べるとコーバー(Cobar)という町でした。
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食事を調達しようかと、

来た方向に、ひとブロック戻ると、目抜き通りがありました。

物凄く小さな田舎町なのですが、

サブウェイ(地下鉄じゃないですよ、世界的なサンド屋さんの方です。)があり、

そこで、朝兼昼食を買い込みます。

日本では、いまひとつ人気は無いようですが、

やはりオーストラリアは、パン文化なので、

サブウェイが根付いているんですね。

ちなみに世界中にあるマクドナルドは、

この町には無さそうでした。

「マックは無いのに、サブウェイはあるって!」

と少々驚きながらも、

コーチに乗り、再び走り出します。

町を出ると、またアウトバックの風景に変わりました。

ただ、ブロークン・ヒル周辺の、はるか彼方を見渡せる風景から、

低木ながら、ずいぶん木が増えてきました。

ブロークン・ヒルから東へ450kmも移動したので、

景色も変わります。

そして、

ここから景色に釘付けになったのです!

といっても、僕だけですが…

というのもこの町を出ると、

鉄道線路が、道路と並行するようになるのです。

昨日貰ったNSW西部の地図を見ていると、

ここから終点のダッポーまで線路と並行していくようです。

線路があるのに、旅客列車は??

無いんです。

詳しくは知りませんが、ずいぶん前に廃止されてしまったんです。

けど線路が残っていますし、

しっかりと整備された線路が敷かれています。

なぜ?

貨物列車が僅かながら運行されているためです。

しかも、かなり本数は少ないはず、

おそらく、一日1本程度だと思うので、

見かけるとしてもなかなか、チャンスは少ないはずです。

ひたすらまっすぐな道を走る暇な車内、

鉄ちゃんとしては、

列車が通るかと淡い期待をしながら、

線路を眺めます。

最初は、座っている反対側に線路があったので、

眺めているだけでしたが、

40分ぐらいしてからですかね、

並走する線路が進行方向の右側に移ってきました。

地図を見ると、ここから先はずっと、

座っている側に並走するようだし、

今日一日ただ移動して、車窓を眺めているだけなので、

列車を見かけたら、ダメもとで列車を捉えてやるかと、

ジーっと線路を眺めていました。

車内で線路に注目していたのは、

僕だけではありませんでした。

お母さんと一緒に乗っていた、小さな女の子が、

「トレイン、トレイン」と騒いでいるのが聞こえてきます。

小さな女子鉄と、大きな子供の二人で、

車内から、線路の注視が続いたのでした。


11:20頃

ナインガン(Nyngan)という町でストップ、

旧駅舎前がコーチステーションになっていることが多いです。

そして、駅を出て、

ハイウェイに戻る直後に踏切を渡りました。

鉄ちゃんは見逃しません、

線路の向こうにライトが光っているのを。

っで、

バスもそちらの方向へ近づいて行ったので、

列車をしっかりと確認して、カメラで連写!

さて結果は???

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貨物列車でした。

立木が多く、なかなか難しかったですが、

先頭の機関車が何とか頭を出しているショットを1枚。

まぁ、動くコーチの車内からですから、

こんなもんですかね。

そして、この列車が何をしているか?

停車して、

穀物の積込みをしているところでした。

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こんな感じ。

こういった積込みサイロって言うんですかね?

集積地がところどころにあって、

この並走している鉄道は、

主に沿線で採れる穀物類を運んでいるようです。



そして、ここから撮り鉄魂に火が付きました(笑)

「もう、1本の列車が、この線路に居て、

しかも本線を塞ぐ形で、積込みをしている。

予想ではもうこの線路上に列車はいないだろう。」と。

「でも、撮るものが無ければ、

線路や鉄道施設を撮ってやろう。」と思ったのです。

そして、

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踏切、

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踏切、

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踏切、コーチが横切ります。

東に向かうにつれて、雲が多くなってきました。

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そして、こちらも、

ということで、暇つぶしをしていると、

終点のダッポー(Dubbo)の街中に入ってきました。

アウトバックからの帰還です。

人口4万人弱の町ですが、

何もないところをひたすら走って来たので、

この町が大都会に見えます(笑)

そして、ほぼ定刻13:20

ダッポー駅に到着しました。

ブロークン・ヒルから約750km。

それにしても、ドライバーさん、

コーバーを出てから、乗降の停車は何度かあったものの、

ずっと走りっぱなし。

なかなか大変なお仕事です。



ホーム脇に着いたのですが、

乗り継ぐはずの列車が居ません。
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そう、今日は列車が運休してしまったのです。

事前に連絡は来ていたので、知っていたのですが、

この先の山越え区間、

ブルーマウンテンズの手前で、

先日の大雨で路盤が流れてしまい不通となりました。

そのため、代替コーチにて運行しますと連絡が来ていたのです。

これだけ、コーチに乗ってきて、

また、夜までコーチの旅です。

あ~、うんざり。



列車代替コーチが、乗ってきたコーチの隣に、2台停まっていました。

係員の女性に確認すると、

簡単に、列車の予約者名と人数、行き先を確認、

終点シドニー・セントラル駅へ向かうバスは、

2台のうちの1台だけでした。

ダッポーからシドニーの列車は、

全席指定なので、

乗降予定のデータをもとに、

コーチの配車をしているようです。
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まだ乗れないというので、

今のうちにコーバーで買い込んだ昼食を、

ホームのベンチで済まします。

すると、

線路の向こうから、

光がゆっくりと近づいてくるのが見えました。

「おっ、なんか来た!」と、

カメラを慌てて用意して、光の方向へと、

近づいていきました。

ずいぶんゆっくりとやって来ます。

????

マルチプル・タイ・タンパーという保線用車両でした。
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まぁ、ほとんどの人が興味を示しませんでしたが、

他にひとりだけ、超興奮状態の人が居ました。

そう、

車内で「トレイン、トレイン」と言っていた女の子、

必死で撮影する僕の後ろの方で、

大声で、

「アンビリーバボー!」

「マーム!マーム!」と、

お母さんを呼びに行く声が聞こえておりました。

将来有望な女の子です(笑)

マルチプル・タイ・タンパーは、

信号待ちの様で、我々のコーチのすぐ前で停車。

現在列車は運行されていないので、

その間に保線を進めてしまおう、という事のようです。

14:20頃、

列車で出発する時間より若干遅れて、

我々のコーチは、ダッポーを出発。

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街を抜け出すと、

ぽかん、ぽかんと雲が浮かぶ景色が広がっていました。

悪天候が続く、シドニーに近づくにつれて、

雲の数が確実に多くなってきています。


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バサースト(Bathurst)という駅に寄ります。

全駅ではないのですが、

けっこうまめに停まっていき、

1名づつ乗ってくる感じです。

おそらく、予約に基づいて立ち寄り駅が決められているのでしょう。

このバザースト駅を出て、

すぐのところで、バスが停まりました。

時刻は16時。

45分ほどの休憩だそうです。
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付近にはスーパーなどが集まる、

ショッピングセンターの駐車場にコーチステーションが設けてあります。

隣にマクドナルドがあったので、

ほぼ、全員そこへ入店して、休憩をしていました。

この代替のコーチですが、

車内トイレは閉鎖されてしまっているので、

しっかりトイレも済ませておきます。

休憩を終えて、

バザーストの町を後にします。

車窓は、平坦な風景から、

穏やかな丘陵地帯、

17時を過ぎたくらいから

コーチはブルーマウンテンズの山越え区間に入ってきました。

とここで、渋滞にはまります。

20分ほどほとんど動かず。

やはり、線路の被災した区間の近くです。

道路も片側交互通行で、復旧工事をしていました。

渋滞も抜け、山を越えればシドニー都市圏に入ります。

そこで突然、前の方から、

なんだかブザーが鳴り始めました。

コーチも路肩に停めて、

ドライバーが何やら、チェックを始めました。

ども、車両中ほどにある、

中扉のロックが外れるというトラブルのようです。

ドライバーと事務所とやり取りをしていました。



路肩に停まっていたところが、

ちょうど駅の脇。

なかなか直らないようなので、車内から撮影してみました。

不通区間のため列車は来ませんが、

ブラックヒース(Blackheath)という駅。
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「ひょっとして、代替車両を呼んで乗り換えか???嫌だなぁ~」

と思っていると、直ったようで一安心。

なんだかんだと、20分ほど停まっていました。

再び動き出した時には、

陽もすっかり暮れて、

夜のシドニーを走り抜けます。

ペンリス(Penrith)駅で半分ほど降りて、

残りの乗客は全員、セントラル駅まで。

この2カ月のシドニー生活では、電車での移動をしていたので、

まったく知らない地域を走り抜け、

22時半ごろ、シドニー・セントラル駅に到着したのでした。

約1時間半ほどの遅れ。

ダッポーから400km。

これにて朝からの全工程約1150km、

NSWに西ブロークン・ヒルから、

東の端、シドニーまで横断完了という事です。

所要時間約18時間。

人生最長のバスの旅となりました。



本当はこちらのXPTでダッポーからシドニーまで

乗車する予定だったんですけどね。
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残念でした。(2022年1月18日撮影)

明記以外、全て2022年3月10日撮影



ブロークン・ヒルの旅まとめ
メルボルン⇒スワン・ヒル⇒ブロークン・ヒル
ブロークン・ヒル駅の朝
ブロークン・ヒル郊外シルバートンなど
ブロークン・ヒル郊外メニンディー湖へ
メニンディーからの戻りの踏切にて
スルファイド・ストリート鉄道&歴史博物館
ブロークン・ヒル市内観光
夜のブロークン・ヒル
ブロークン・ヒル⇒ダッポー⇒シドニー